養生ヨガとは

養生ヨガのVISION

養生とは、生きる方向性。それを自らの内に見出し、歩む力のことである。


大海原を航海する船が、


目的地を目指して少しずつ舵を取るように、


今自分が居る場所(心身の状態)を知り、


生きる方向性を自らの内から見出し、そのとき必要なことを選択する力。




養生法を実践することで「身体と親しみ」、
自分を知ること。

そうすれば、おのずから生きる力が養われていく。


誰もがその力を、自らの内に持っている。


これが、養生ヨガで考える養生のビジョンです。

養生ヨガの本質は「自分を知ること」

養生と聞くと、多くの人は「身体をあたためる」とか「早寝早起き」といった「養生法」をイメージします。

養生ヨガでは、「養生」と「養生法」とを分けて考えます。

もちろん、“何を食べたら良いのか、何をしたら良いのか”という養生法を知ることも大切です。


ただ、多くの「身体に良いもの」は、最大公約数的に人々を単一なものとして捉え、その平均値で「これが効く」と示されたもので、果たして今のあなたに、それがどれくらい有用かはわかりません。

また、どんなに身体によいものでも、そればかり取り続けることが本当に身体に良いものなのかどうかは、自分の身体を通して検証してみる必要があるかもしれません。


私たちの身体と心は、常に変化しています。
生命そのものは、もともと自由な存在で、常に変化しています。


そんな常に変化し続ける心身や世の中において、「自分を知り」、「今の自分に必要なもの」を見分ける力が、「心の主」の存在です。

実は、養生法を行うためには、この「心の主」の存在が大切です。

ただ医者に言われたことをやる、というだけでも、そこには「意図」や「目的」をはっきりと持って、自分を律していく力が必要となります。

養生法を実践するためには「心の主人」を養う必要がある。

「養生訓」を書いた貝原益軒も語っています。

クリパルヨガではそれを、「智慧」または「目撃意識」と呼びます。

自分自身や周りで何が起きていても、それに巻き込まれずに全てに気付いている存在。

今自分に本当に必要なこととそうでないこと(真実)を、分かっている、識別できる力。

多少、不調があっても自分を見失わず、身体を信頼し、起きていることと共にいる在り方です。

一見とても難しいようですが、誰にでもその智慧はあります。

大切なのは、身体を使うこと。

身体と親しむこと。

現代の私たちは、すべての行動や選択を「頭(思考する心)で考えて」行っています。

思考する心は、不快なことを避け、常に慣れ親しんだ場所を好む傾向にあります。

良い悪い、好き嫌い、優れている劣っているなど、過去の自分の経験に縛られて、現実をただありのままに観ることを難しくさせます。


現実をありのままに観ることができなければ、本当に自分に必要なことを知ることは難しいでしょう。


ヨガや瞑想は、身体を使って、今起きている現実(リアリティ)をただ観て、感じていくための方法です。

養生ヨガでは、ヨガと瞑想行うことで身体と親しみ、ありのままの自分をただ観察する「目撃意識」を養っていきます。

一方、アーユルヴェーダには「消化力=火」という概念があります。

胃や十二指腸の辺りにある消化の火のことで、摂取食物を消化吸収し、栄養と排泄物に変える力。必要なものを代謝して体組織を作り機能させ、不要なものを排泄する力のことです。


アーユルヴェーダでは「すべての病気の原因は消化の火が緩慢になることにある」と言われ、どんな病気の治療でも、まず消化力を立て、改善することを行うと言われています。

同じように、東洋医学・漢方においても「脾胃」は非常に重要で、気血水が正しく巡るための必要最低条件が脾胃の力だと考えられています。


さらに興味深いことに、アーユルヴェーダでは胃と十二指腸にあるその消化の火と同じように、知性を司る機能のことも「火」だと考えます。

現実をありのままに観て、自分にとって必要なことと必要でないことが分かり、経験したことを智慧に変える力もまた、「消化力」なのです。


つまりこれは、ヨガで言う「識別する力」=「目撃意識」のことです。

身体と心の両面で、その「火・知性・心の主」をどう養い、どう扱うかが、私たちの健康を担っているのです。


普段の生活の中でその存在を意識することは困難ですが、養生ヨガでは、身体を通したヨガとアーユルヴェーダの実践・学びを通して、あなたがすでに持っている智慧の存在に少しずつ注意を向けていきます。


“生老病死”という言葉があるとおり、私たちの身体は限りあるものです。

そして、いくら身体に良いことをしても、人生には困難が付きものです。

そんなとき、あなたは自分の生命とどう関わっているでしょうか。


あなたが健康に生きていきたい理由は、どこにあるのでしょうか。

人生で大切にしていること、生きる目的や意味はなんでしょうか。


その答えは、どんなに外側の世界を探しても見つかりません。

すべて身体の中にあります。


養生ヨガで伝えたいことは、誤解を怖れずに言うならば、困難のない、病気にならないための生き方ではなく、

困難がやってきたときにも、自分の進みたい方向性を、自分の中から見出していく力を養っていくことなのです。

養生ヨガに参加して頂いている方々は、ほとんどの方がヨガやアーユルヴェーダの経験がありません。

病や不調を経験し、どうしたらそれが良くなるのかと悩む方々です。


ヨガやアーユルヴェーダを始めるために必要な“条件”はありません。

ただ、自分自身の身体と関わっていくことです。


準備をしていたら、人生はあっという間に終わってしまうでしょう。


今ここから、そのままの自分から。

身体と親しむことから、はじめましょう。